私は販売する立場ですが、「仕入れ」に於いては、皆様と同じ買う側となります。
そこで、私が仕入れる時の考え、基準などをお話ししたいと思います。
皆様のご参考になれば幸です。
赤ちゃんが健やかに成長され、学校を卒業、成人となり結婚をし、歳を重ねてゆく。贈ってくださった方々の自分への思いを感じながら末永く飾っていただきたいと思います。
末永く飾るためには、人形が上質であることが大切です。作者の思いや技術が注がれていることをチェックしてください。どこに技術が込められているのか?お店でお尋ねください。
人形が際立つような美しい飾り方も大切です。
・屏風に余白があること。
・人形を邪魔しないお道具であること。
・同じ人形でもお客様それぞれの飾り方をしてください。
フォルムが美しい。
姿勢がよく、顔と身体などのバランスがよい。
細部に作者の心遣いを感じることができる。
人形に合わせ、台の縦・横・高さが決められている。
後姿も美しく女性の優しさが表われます。「古典下げ髪」は顔を面長に、肌を白く見せる日本古来の髪型です。江戸、明治期に作られていましたが、髪結いの技術も難しく、現在では稀少となっています。
古典下げ髪についてウィキペディアもご覧ください。
後ろ姿や仕立ても美しい。
お内裏様は立派でなくてはいけません。
威厳ある姿が表現されなくてはなりません。
姿勢の良さときりっとした手の構えをご覧ください。
額、瞼、頬、口、顎など細部まで丁寧に。
微笑んで軽く開けた口、口の奥までつくります。
職人の技によってつくられたお顔です。
髪型は源氏絵巻にも登場する日本古来、女性の髪形です。
冠を結わえる紐はありません。
かつて、公家や武士はこうしてかぶっていました。
横に伸びた棒で冠の中のマゲを突き刺しています。
式正冠(しきせいかんむり)といいます。
冠の後ろに真っ直ぐ上に立ったものをものを立纓(りゅうえい)といい、江戸時代の「天皇のしるし」でした。
また、江戸になるまでは公家、武士すべてが垂れた垂纓(すいえい)を着装していました。
顔や手と統一感をもたせるため、扇には胡粉絵の具が使われています。また絵柄も人形を引き立てるためとてもシンプルです。
ひな人形の目は通常ガラスですがこれは筆によって手書きされています。目だけでなく、まつ毛、眉毛、生え際などの美しさもご覧ください。
顔は、昔ながらの職人の技。重ね塗り。手彫り仕上げです。顔は胡粉を何度も重ね塗りし、口は手彫りをして口の奥まで作ります。
扇の糸まで追求しました。
糸一本の美しさにまで心を込めました。
すべてがオリジナルです。
手をご覧になったことはありますか?
人間のバランスとしてふさわしい手。
細長い棒のような手ではなく、身体や顔と釣り合いのとれた石川潤平工房オリジナルの手です。
赤い毛せんと金屏風が洋の空間に似合います。
お道具や三人官女がシンプルであることで、
よりいっそうお内裏様が引き立ちます。