鎧(よろい)や兜(かぶと)について知らないことが多いと思います。
漠然と「伊達正宗だ!」「家康がいい」ではなく、
ご購入前に少し勉強してみませんか?
男の子のお祝いには、「戦い」の道具ではなく、
美術的に優れた美しい大鎧はいかがですか?
平安後期~南北朝。この時代の鎧は、色や姿が美しく、
「大鎧」と呼ばれ国宝にも数多く指定されています。
戦うためではなく、大将の晴れ着として用いられた大鎧。
神社に奉納されたことから、奉納鎧とも云われています。
節句飾りに相応しい鎧です。
大鎧は、決まりごとがたくさんあります。
時代考証に忠実で、美しいことが重要です。
用語とともにご説明します。
兜(かぶと)・大袖(おおそで)・胴(どう)の三つの部分で一揃いです。
一領(いちりょう)と呼びます。
領土と同じくらい大切であったようです。
面、小手、足、くつなどは付きません。
算用数字の3のような透かし彫りの文様です。蕨の芽が巻いた形をしています。「終わりがない」「永遠を願う気持ち」を表しています。
ハートではありません。これは日本古来の「猪の目」という文様です。神社仏閣に多く見られ「火防守護」を願っています。文様の美しさと護符としての役割を兼ねています。
穢れを払い、幸福を招く飾り結びの代表格です。神社仏閣、大相撲など伝統的な場面で広く使われています。装飾性と命を守る護符の意味があります。
平安時代、布を褐つ(かつ)=たたいて染めたこと に由来します。さらに、鎌倉時代、武士たちが濃い藍染めを好み、かつ=勝 の字をあてて縁起のよい色としました。
鎧に使われる糸や糸で編んだ部分のことです。
緒を通すことに由来しています。
赤糸縅(あかいとおどし)は、強い生命力を表し多くの武将に好まれました。
天辺(てへん)の座、八幡座(はちまんざ)と云います。
兜の頭の天辺(てっぺん)にあたります。
内側から玉縁(たまべり)、小刻(こきざみ)、菊座(きくざ)、葵座(あおいざ)と、4枚の合わせ金具でつくられます。
神の宿る場所とされています。
写真中央、腰のあたり、革を使用するのが約束です。
紫裾濃(むらさきすそご)武道を重んじるという「尚武」と、植物の菖蒲を掛けています。菖蒲の花の色である紫、薄紫、黄、白の4色を使用。この色の鎧は御嶽神社(東京)にあり、昭和26年日本の鎧の代としてアメリカへ渡っています。
鍬形の差し込み口です。唐草模様の透かし彫りがとてもきれいです。唐草は、葉や茎が途切れることなく伸びるため繁栄、長寿などを表す縁起の良い文様です。
すべての写真をご覧ください。鎧や兜には赤色が多く使われています。古来より赤には生命力があり、魔除けの力が宿るとされてきました。命を守ることへの強い思いが込められた魔除けの赤なのです。
肩から上腕にかかる部分、いわゆる袖(そで)にあたります。
縅(おどし)は、白糸褄取(しろいとつまどり)です。
頭に当たる兜の裏側は、刺子をして丈夫にします。
頭に直接当たらないように浮かして布が張られています。
ファッション性と機能性を兼ね備えています。
ヒモの通し方もご注目ください。
帽子の庇(ひさし)にあたる部分。
鎧の背中にも、赤い組み紐の総角(あげまき)が施されています。
袖が腕に寄り添うように考えられています。機能性、装飾性、護符として3つの役割をもっています。